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所要とは?

[ 26] カルシウムの性別、年齢階級別所要量
[引用サイト]  http://milk.asm.ne.jp/jimu/ca/55.htm

ある個人が正常な状態で生存し、活動するために摂取しなければならないある栄養素の量は、その個人にとってその栄養素の摂取必要量( Intake requirement :以下『必要量』と記す)と呼ばれる。、一方、個体にとっての必要量とは別に、いくつかの栄養素について、集団を対象として、性別、年齢階級別に『所要量』という概念がもうけられている。わが国の所要量の定義はあいまいで、『国民が健康を維持し、健康に毎日の生活を営めるようにするためにはどのような栄養素をどれだけとったらよいかという摂取量の基準』とされている(*1)。、米国で所要量に相当するのは Recommended Dietary Allowances(以下RDAと略す)と呼ばれているものであるが(*2)、これは明確に定義されていて、『科学的な根拠に基づき、実際上すべての( Practically all )健康な人々の必要量を満たすことができると判定された栄養素の摂取量である』とされ、さらに具体的に『ある集団を構成する健康な個体の、ある栄養素の必要量の平均値に、標準偏差の2倍(2SD)を加えたものをその栄養素の、その集団にとってのRDAとする』との記載がなされている。、ここでいう集団とは、性、年齢、体格、身体状況が一定な仮想的集団で Reference Individuals と呼ばれる。英国では所要量は Reference Nutrient Intakes(RNI)と呼ばれているが、意味あいは米国のRDAと同様である(*3)。
実際には、多くの栄養素について、ヒトの必要量に関するデータは乏しく、特に標準偏差については信頼できる値が知られていないことがほとんどである。そこで、『多くの生命現象の変動係数(CV)は約15%である』という、よく知られた知見にしたがって(*4)、必要量の平均値の30%増しの値を所要量とすることが多い。このことは、しばしば、『所要量は必要量に30%の安全率を見込んで算定する』と表現される。
RDAやRNIは上に述べたように、『たとえ性、年齢、体格、身体状況、ライフスタイルなどが同一の人々の間にも、栄養素の必要量には個体差がある』という認識を前提としている。そして、ある個人について、ある栄養素の必要量はほとんどの場合不明である。したがって、ある個人について、ある栄養素の摂取量と所要量を比較しても、その人が欠乏状態に陥るか否かを知ることはできず、ただ、その人が欠乏状態に陥るリスクが何%であるかを推定することができるだけである。
図1には、ある栄養素の摂取必要量の分布の様子(実線)と所要量との関係が示されている。さらに実際の摂取量と、その摂取量を長期間にわたって継続した場合に欠乏状態におちいるリスクとの関係が、破線で示されている。長期にわたる摂取量が『所要量』に一致している場合には、リスクはわずか数%にすぎないが、『摂取必要量の平均値』に相当している場合には、想定されるリスクは50%に及ぶことがわかる。
カルシウム所要量の算定の基礎はカルシウム必要量である。これまで、わが国では所要量の算定のために、出納法によって求めたカルシウム必要量を用いてきた。、
しかし、出納法によってカルシウム必要量を求めることにはかなりの困難がある。出納法の問題点としては、『骨のカルシウム代謝の状態が、出納試験で用いられる非日常的なカルシウム摂取量に適応するためには6〜18カ月を要するのに、通常の出納試験はたかだか数週間にわたって継続されるにすぎない』ことなどが指摘されており(*5)、米国のRDA(*2)でも英国のRNI(*3)でも設定の根拠となる必要量の算定に出納法のデータは採用されていない。
RDAとRNIで必要量を算定するのに用いられているのは要因加算法である。これは、成長期以後の場合には、カルシウムの腎臓、皮膚、消化管を通して不可避的損失量( Obligatory loss )の合計を、また、成長期の場合には、この合計に骨への蓄積量を加えたものを求め、これを体内に取り入れることのできる摂取量を、吸収効率を用いて計算する方法である。
わが国の現行の所要量は1994年に設定されたもので、『第五次改訂日本人の栄養所要量』(*1)と呼ばれ、1999年まで用いられた後に、次の改訂が行われることになっている。この所要量の設定の基礎となったカルシウム必要量の算定は、要因加算法によって行われた。、表1には、カルシウム必要量の根拠となる数値と、それらに基づいて算定した、カルシウムの必要量が、性別、年齢階級別に示されている。性別、年齢階級別の体重は、日本人の2000年の推定基準値を基礎にしているが、算定に用いられたその他のデータは、すべて欧米人について得られたものである(*6)。、成人の場合には、尿中排泄量は体重(Kg)の0.75乗( Metabolic body weight )当たり6mgとされている。経皮的損失についてはさまざまな値が報告されているが尿中排泄量の17%という値が採用されている。、成長期については、各年齢階級における体重1Kg当たりの骨のカルシウム含量のデータから、骨に蓄積されるかの量を算出して、これを不可避的損失量に加算している。、要因加算法によってカルシウム必要量を算定するためには吸収効率を知る必要があるが、ここでは『見かけの吸収効率』を用いている。『見かけの吸収効率』とは、消化液の成分として、あるいは剥離した消化管粘膜などに含まれて腸管に排出され、再び吸収されることなく便中に排泄されるカルシウムは、はじめから吸収されなかったものとみなして計算した吸収効率である。カルシウムの『見かけの吸収効率』は『真の吸収効率』のほぼ2/3とされている(*6)。
さまざまな食品に含まれるカルシウムの『真の吸収効率』を知るためには、それらの食品に含まれるカルシウムを放射線同位体でラベルし、ラベルされた食品を含む食事を被験者に摂取させ、体内に取り込まれた放射性のカルシウムの量を測定しなければならない。このような方法によって測定されたいくつかの食品に含まれるカルシウムの健康な成人における吸収効率を表2に示した(*7)。
【表2】放射線同位体を用いて測定したさまざまな食品に含まれるカルシウムの吸収効率(平均値±標準偏差)
これまで、乳・乳製品に含まれるカルシウムは特に吸収効率が高いとされてきたが、表2に示された結果を参照すると、いくつかの植物性食品に含まれるカルシウムは、乳・乳製品と同等かそれ以上の吸収効率を示すことがわかる。しかし、ほうれん草のようなシュウ酸含量の高い野菜に含まれるカルシウムの吸収効率は非常に低く、また、フィチン酸の含量の高い大豆に含まれるカルシウムの吸収効率は、低いものに含まれるカルシウムの吸収効率に比べてやや低い。
『見かけの吸収効率』が『真の吸収効率』の約2/3であるとすると、必要量の算定に用いられた吸収効率はやや高めに見積もられているとの印象をうける。しかし、後述するように、カルシウム摂取量が低下すると、適応的に上昇することが知られているので、この値で問題はないとされている。また、成長期のカルシウム吸収効率としては、成人期よりも高い値が採用されているが、これはカルシウムの需要が高く、それに適応してカルシウムの吸収効率も高まっているためである。
現行の所要量(*1)は、このような方法で算定された必要量に安全率20%を見込んで性別、年齢階級別に設定されている(表3)。
20%の安全率を見込んだということは、所要量が各性別、年齢階級別に想定された Reference Individuals の約90%の必要量を満たしうる摂取量であるということを意味している。
妊娠中は、胎児の体内に蓄積されるカルシウムを、また、授乳中は、母乳に含まれて分泌されるカルシウムをまかなうため、妊婦と授乳婦のカルシウム必要量は、成人女性のそれよりも多いと考えられている。
妊婦については、2000年における新生児の推計体重基準値と新生児の体内カルシウム含量から、胎児へのカルシウムの貯蓄量を計算し、これに成人女性の不可避的損失量をあわせて、1日に体内に取り入れなければならないカルシウムの量を求めている。妊娠中は需要の増加によって、カルシウムの吸収効率は適応的に上昇するので、『見かけの吸収効率』を40%とし、必要量は750mg/日と算定されている。
授乳婦については、日本人の授乳の1日当たりの哺乳量と母乳中のカルシウム含量から、授乳婦が哺乳のために体内に取り入れなければならないカルシウムの量を求め、これに成人女性の不可避的損失量をあわせて、1日に体内に取り入れなければならないカルシウムの量を求めている。授乳婦も妊婦と同様に吸収効率が40%程度に上昇しているので、摂取必要量は920mg/日と算定されている(*1)。
所要量は、必要量に20%の安全率を見込んで、妊婦の場合は900mg/日、授乳婦の場合は1,100mg/日とされている。いいかえれば、妊婦、授乳婦の所要量は成人女性の600mg/日のそれぞれ300mg、500mg増しということになる(*1)。この値を妊婦、授乳婦の付加量と呼んでいる。
このようにして設定されたわが国の性別、年齢階級別カルシウム所要量を米国のRDA(*2)および、英国のRNI(*3)と比較して表4に示した。わが国の所要量はRNIと大差はないが、RDAと比較するとかなり低いことがわかる。、特に19〜24歳の男女のわが国の所要量(600mg/日)は、米国のRDA(1,200mg/日)の1/2である。この大きな開きの原因の一つとしては、米国ではRDAの設定にあたって、19〜24歳の男女の不可避的損失として200〜250mg/日、また骨への蓄積量として140〜160mg/日と、わが国の所要量設定の場合よりも大きな値が用いられていることがあげられる。、RDAに対しては、19〜24歳の女性に対する値1,200mg/日が高く設定されすぎているという批判がある(*6)。
また、RNIでは妊婦の所要量は19歳の女性の所要量と等しく、このことはわが国の所要量やRDAと大きく異なる点である。、英国では、妊婦のRNI設定にあたって、『妊娠3カ月までは骨のカルシウム含量の低下が認められるものの、吸収効率が大幅に上昇するために妊娠6カ月目には骨量の減少は回復される』という見地(*8)に基づいて、妊婦については付加量をもうけていない。

 

[ 27] 第6次改定日本人の栄養所要量について
[引用サイト]  http://www1.mhlw.go.jp/shingi/s9906/s0628-1_11.html

日本人の栄養所要量は、健康人を対象として国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために標準となるエネルギー及び各栄養素の摂取量を示すもので、健康増進施策、栄養改善施策等の基本となるものであり、栄養指導、給食計画等の基準として幅広く利用されているものである。
現在使用している栄養所要量は、平成7年度から11年度の間使用するものであり、今回は平成12年度から16年度の間使用するものとして改定するものである。
欠乏症を防ぐ必要量(所要量)とともに、過剰摂取による健康障害を防ぐ上限 値(許容上限摂取量)の設定。
ビタミン及びミネラルについては、国際的により多くの項目の策定がなされている現状や、最新の科学的知見を踏まえ、新たな項目を追加した。
ビタミン:ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、 ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12 、
無機質(ミネラル):カルシウム、鉄、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデン
平成11年6月23日厚生省発健医第181号で諮問のあった標記の件については、下記のとおり答申する。
なお、本答申の作成に当たっては、食事摂取基準の考え方を導入するなど最新の知見を探求し、可能な限りこれを取り入れたところである。今後とも、健康増進及び生活習慣病予防の観点から、我が国における研究の継続的な推進を図り、国民の健康・栄養状態、食生活等に適切に対応し得るよう改定に取り組むべきである。
1.平成12年度から16年度までの5年間使用する日本人の栄養所要量「食事摂取基準」については、別紙のとおり策定することが適当である。
2.個々人に対する食事摂取基準の活用にあたっては、その個人の健康・栄養状態、生活状況等を十分に考慮することが適当である。
日本人の栄養所要量は、健康人を対象として、国民の健康の保持・増進、生活習慣病予防のために標準となるエネルギー及び各栄養素の摂取量を示すものである。
栄養欠乏症を予防する観点から、特定の年齢層や性別集団の必要量を測定し、その集団における50%の人が必要量を満たすと推定される1日の摂取量を「平均必要量」とした。「栄養所要量」は、特定の年齢層や性別集団のほとんどの人(97〜98%)が1日の必要量を満たすのに十分な摂取量であり、原則として「平均必要量+標準偏差の2倍(2SD)」で表される。また、平均必要量を算定するのに十分な科学的知見が得られない場合は、特定の集団においてある一定の栄養状態を維持するのに十分な量を所要量として用いることとした。
一方、過剰摂取による健康障害を予防する観点から、特定の集団においてほとんどすべての人に健康上悪影響を及ぼす危険のない栄養素摂取量の最大限の量を「許容上限摂取量」とした。これらの数値を総称して「食事摂取基準」とする。
2.生活活動強度が「I(低い)」または「II(やや低い)」に該当する者は、日常生活活動の内容を変えるかまたは運動を付加することによって、生活活動強度「III(適度)」に相当するエネルギー量を消費することが望ましい。
散歩、買物など比較的ゆっくりした1時間程度の歩行のほか大部分は座位での読書、勉強、談話、また座位や横になってのテレビ、音楽鑑賞などをしている場合。
通勤、仕事などで2時間程度の歩行や乗車接客、家事等立位での業務が比較的多いほか大部分は座位での事務、談話などをしている場合。
生活活動強度II(やや低い)の者が1日1時間程度は速歩やサイクリングなど比較的強い身体活動を行っている場合や、大部分は立位での作業であるが1時間程度は農作業、漁業などの比較的強い作業に従事している場合。
1日のうち1時間程度は激しいトレーニングや木材の運搬、農繁期の農耕作業などのような強い作業に従事している場合。
注)生活活動強度II(やや低い)は、現在国民の大部分が該当するものである。生活活動強度III (適度)は、国民が健康人として望ましいエネルギー消費をして、活発な生活行動をしている場合であり、国民の望ましい目標とするものである。
1.飽和脂肪酸(S),一価不飽和脂肪酸(M),多価不飽和脂肪酸(P)の望ましい摂取割合はおおむね3:4:3を目安とする。
1.食塩摂取量は、高血圧予防の観点から、150mg/kg/日未満とし、15歳以上では10g/日未満とすることが望ましい。

 

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